【5月8日 AFP】食料や水、医薬品が底を突く中、粗末な野戦病院で手足の切断手術が行われ、死体が積み重なっていく。ウクライナ軍にとって南東部マリウポリ(Mariupol)の「最後のとりで」となったアゾフスターリ(Azovstal)製鉄所では、ウクライナ兵が必死の抵抗を続けている。

 夫と同僚が製鉄所にとどまる、衛生兵のエウゲーニヤ・ティタレンコ(Yevgenia Tytarenko)さんが丹念にまとめた情報により、製鉄所内の惨状が分かってきた。

 ティタレンコさんは製鉄所に残っている人と今も定期的に連絡を取り続けている。「野戦病院には深刻な状態の兵士が大勢いる。負傷しているが、薬がない。食料と水は尽きかけている」と語った。

 冷蔵設備がないため、袋に入れられた死体は腐敗し始めている。ティタレンコさんは、ロシア軍の手に渡らないようにと、兵士は「遺体をあちこちに移動させている」と話した。

 ロシア軍が迫る中、製鉄所内の将官らは家族に最後の別れを告げているという。

 そうした中、ウクライナ政府は7日、国際医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」に対し、製鉄所内の兵士の救出を要請した。

 ロシアに一時的に占領されている地域の再統合を担当する当局は英文の声明を出し、「マリウポリとアゾフスターリに残っている兵士を避難させ、負傷者を治療するための派遣団を組織するようMSFに要請する」と訴えた。

「医薬品も水・食料も尽き、傷ついた兵士は壊疽(えそ)と敗血症で死んでいっている」 (c)AFP