【5月3日 AFP】米連邦最高裁判所が、女性の人工妊娠中絶の権利を半世紀にわたり合憲と認めてきた判決を覆す可能性があることが、判事の多数派意見の初稿が流出して明らかになった。米ニュースサイトのポリティコ(Politico)が2日に報じた。裁判中に判事の意見草案が流出するのは極めて異例。

 連邦最高裁は1973年の「ロー対ウェイド(Roe v. Wade)判決」で、女性の中絶を憲法上の権利と認めている。

 これに対しミシシッピ州は、妊娠15週以降の中絶を原則禁止する法律を成立させた。最高裁は昨年12月に同法の合憲性をめぐる審理を開始し、今年6月までに判決を下す見通しとなっている。

 この裁判に関連して記された、98ページに及ぶ保守派判事の多数派意見の初稿には、ロー対ウェイド判決自体について「最初から明らかに間違っていた」との主張が含まれている。

 連邦最高裁判事は9人で、うち6人が保守派で、3人がリベラル派だ。保守派のうち3人は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が指名した。

 米国ではこのところ、共和党員が知事を務める州で中絶制限が強化され、一部の州では、多くの女性が妊娠に気付かない6週以降の中絶の全面禁止を求めるなど、生殖に関する権利の制限につながる動きが相次いでいる。

 ポリティコは、入手した文書は草案にすぎず、最終的な判決を下す前に意見を変える判事もいると強調している。(c)AFP/Chris Lefkow and Robin LEGRAND