【5月6日 AFP】ウクライナの首都キーウ近郊にあるブチャ(Bucha)のヤブルンスカ(Yablunska)通り(リンゴの木通り)では、ロシア軍による戦争犯罪の犠牲者とみられる少なくとも20人の遺体が見つかった。そのうち、AFPの調査により明らかになった4人の最期について、全4回の連載で伝える。

■第4回:借りた自転車を返しに ── ウォロディミル・ブロウチェンコさん(68)

 義理の妹のナタリア・ゼレナ(Natalia Zelena)さん(63)によると、ウォロディミル・ブロウチェンコ(Volodymyr Brovchenko)さん(68)はその日、借りた自転車を返すため勤務先の隣町ボルゼル(Vorzel)に向かっていた。ブロウチェンコさんには2人の子どもがおり、これまで木工などさまざまな仕事をしていたという。

 妻のスビトラナ(Svitlana Brovchenko)さんは、街中は危険であることから夫を止めようとしたが、聞き入れられなかった。ブロウチェンコさんは3月5日ごろ、ヤブルンスカ通りを自転車で走っていた際に射殺された。

 ゼレナさんとスビトラナさんは、AFPがヤブルンスカ通りで撮影した写真に写った遺体を見て、ブロウチェンコさんだと分かった。ゼレナさんによると、遺体を移動させようとした隣人の男性も銃撃されたが、一命を取り留めたという。

 ブロウチェンコさんの遺体は、ロシア軍の退却後に収容されるまで、数週間にわたり青い自転車と共に路上に横たわっていた。

 ゼレナさんによると、ブロウチェンコさんはロシア南部オムスク(Omsk)州ゴーリコフスキー(Gorkovsky)地区出身だが、「1976年からここに住んでいた」という。(c)AFP/Daphne Rousseau and Joshua Melvin