【4月30日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は29日、謎の肝炎にかかったアラバマ州の子ども9人全員が「アデノウイルス41型」という一般的な病原体の検査で陽性だったとする調査結果を発表した。

 世界保健機関(WHO)によると、ここ数週間に11か国で同様の患者が約170人確認されている。アラバマ州の子どもは1~6歳で、他には健康状態に問題がなかった。

 この小児性肝炎に関しては、ウィスコンシン州の死者1人をはじめ、全米で調査が進められている。

 米CDCが発表した論文は、2021年10月~2022年2月に発生したアラバマ州の子ども9人の症例に焦点を当てている。3人が急性肝不全(劇症肝炎)を発症し、うち2人は肝移植を必要とした。現在は「移植を受けた2人を含め、全員が回復または快方に向かっている」という。

 論文に付随して発表された声明は「現時点では、これらの報告事例の原因としてアデノウイルスを疑っているが、他の潜在的な環境や状況的要因についても調査している」と述べている。

 アデノウイルス41型は子どもに胃腸炎を引き起こすことが知られているが、健康な子どもに肝炎を引き起こすとは一般に知られていない。

 調査の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の他、A型・B型肝炎および米国で最も多いC型肝炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病や一般的な肝機能障害の可能性は排除された。

 6人はヘルペスウイルスの一種であるエプスタインバーウイルス(EBウイルス)の検査で陽性だったが、抗体がなかったことから、現在ではなく過去の感染を示唆するものとされた。

 9人のほとんどは入院前、大半が嘔吐(おうと)と下痢に見舞われた。上気道症状が確認された例もあった。入院中はほとんどの子どもに黄疸(おうだん)と肝臓の肥大化がみられた。(c)AFP