【4月28日 AFP】インドネシアは28日、パーム油の全面禁輸を開始した。世界最大のパーム油生産国の措置により、価格高騰に見舞われている植物油の国際市場が不安定化する恐れがある。

 インドネシア国内では食用油が品薄になり、価格も高騰している。政府は食用油の購入に対する補助金の支給を決定したが、各地で配給所に数時間待ちの行列ができている。

 当局は社会不安につながりかねない状況だと懸念しており、国内への供給量を確保するため禁輸に乗り出した。

 パーム油は、チョコレートから化粧品まで幅広い製品の原材料に使われている。禁輸対象について政府は27日夜、急きょ方針を転換し、食用パームオレインだけでなくパーム原油やパーム核油など全製品に拡大すると発表した。

 インドネシアは世界のパーム油生産の約60%を占め、うち3分の1を国内で消費する。しかし、規制の不備や国際市場での価格高騰の中で、国内販売より高収益が見込める輸出を優先する生産者が相次ぎ、品薄状態が悪化した。

 国内市場の食用油価格はここ数週間で70%値上がりし、1リットル当たり2万6000ルピア(約230円)を付けている。政府は、平均価格が1万4000ルピア(約130円)に下がるまで禁輸を続けるとしている。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、食用油は農業大国ウクライナにロシアが侵攻したことを受けて史上最高値を更新している主要食料品の一つ。(c)AFP