【4月12日 AFP】欧州連合(EU)の外相に当たるジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は11日、世界的な食料危機を深刻化させている原因について、対ロシア制裁ではなくロシアによるウクライナ侵攻だとの見方を示した。

 ボレル氏はEU外相理事会後の記者会見で、「ロシアが食料不足を引き起こしている。ウクライナの都市を攻撃し、世界に飢餓を引き起こしている」と指摘。「(ロシア軍が)ウクライナの畑に爆弾をまき、ロシアの軍艦が小麦を満載した船数十隻を足止めしている」と続けた。

 さらに、ウクライナでの実際の戦闘だけでなく「ナラティブ(物語)をめぐる戦い(認知戦)」も展開されていると警告。ロシアはウクライナの港を封鎖して小麦の輸出を妨害し、ウクライナの小麦備蓄を破壊して世界に食料危機と物価上昇をもたらしたにもかかわらず、責任を西側諸国による対ロ制裁に転嫁しようとしていると指摘した。

 ボレル氏は「食料危機を招いたのはロシアだ」として「制裁への責任転嫁はやめよ」と非難した。

 国連食糧農業機関(FAO)は先週、3月の世界食料価格指数が過去最高を記録したと発表した。ロシアによるウクライナ侵攻による輸出停滞と対ロ制裁が相まって、世界的な食料危機に拍車がかかっている。中東やアフリカは既に影響が出ており、特に懸念されている。(c)AFP