【5月1日 AFP】ブルンジにあるアフリカ第2の湖、タンガニーカ湖(Lake Tanganyika)近隣の住民アミッサ・イラコゼ(Amissa Irakoze)さんは、湖を怖いと思ったことなどなかった。

 だが2020年4月、予想だにしなかったことが起きた。シングルマザーのイラコゼさんが畑仕事を終えて帰宅すると、家が水没し、10人の子どもたちがいなくなっていたのだ。

「子どもたちは流されたのです。でも、近所の泳げる人たちがボートで救出して、私のところに連れて来てくれました」。子どもは奇跡的に全員助かった。

 2年たった今も洪水は引かず、湖の水位は過去数十年で最高水準を保ったままだ。地球温暖化による異常降雨のせいで冠水が広がり、湿地と化す地域も増えてきている。

 子どもの権利保護団体「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」のブルンジ支部代表によると、避難を余儀なくされている湖畔の住民の65%は子どもだ。

 その大半は通学もできないどころか、あらゆる教育の機会を失い、家族を支えるために働き始めている。世界銀行(World Bank)による世界国内総生産(GDP)ランキングで、ブルンジは最貧国グループに入っている。

 専門家によれば、タンガニーカ湖の水位が上昇している原因は、年間降水量の増加だ。だが、元環境相でタンガニーカ湖の環境保護を推進するアルベール・ムボネラネ(Albert Mbonerane)氏は、別の要因もあると指摘する。

 同氏によると、タンガニーカ湖への流入河川に投棄されるごみの量が急増した結果、唯一の流出口であるコンゴ民主共和国側の水路が詰まり、湖の水位が低下しないのだ。

「あらゆる固形廃棄物が川に投げ込まれ(中略)、湖はまるで汚物を吐き出しながら『一体、どうしろって言うんだ?』と言っているようです」とムボネラネ氏は訴えた。(c)AFP/Marion DOUET