【4月23日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)一番大きい平原の杭嘉湖平原の西部に位置する莫干山(Mogan Mountain)は、最高峰は標高700メートル余りにすぎないが、起伏に富んだ茶園とはてしなく広大な竹の海にいると、まるで絵の中にいるようだ。多くのアウトドア愛好家の利用や、トレッキング、マウンテンバイク、キャンプ、ロングボード・ダウンヒルなどスポーツの人気に伴い、莫干山は「動静結合(静と動の結合)」するようになった。

 莫干山久祺国際サイクリングキャンプ責任者の卓慧青(Zhuo Huiqing)さんによると、コロナ対策の常態化を背景に、ますます多くの人が屋外に出て、体を強く健康にすることを楽しみにしており、昨年1年間のみでキャンプ場には延べ2万人以上の観光客が訪れたという。

 莫干山の「ダイナミック」も中国のアウトドア経済ブームの縮図だ。窮遊網(Qyer)が発表したデータによると、2020年の中国のアウトドア熱は高まり続け、中でもキャンピングブームは303.5%増となった。その背景には巨大な市場の潜在力もある。2020年の中国アウトドア用品業界の売り上げ規模は、前年同期比6.43%増の1693億2700万元(約3兆3719億円)に達した。2025年には2409億6000万元(約4兆7985億円)に達すると予測されているという。

 中国のアウトドア経済が過熱する背景には政府の強力な支持がある。新聞弁公室により3月30日に行われた、よりハイレベルな全民健身公共サービス体系の構築発表会で、中国は国土が広大で、地形が多様であるため、アウトドアの発展には恵まれた優位性があり、それをうまく発揮すべきだと発表された。

 アナリストは、中国の近年の生態環境の改善は、人々に自然に溶け込む意欲と自然に親しむ機会をもたらし、アウトドア経済にも原動力を注入していると指摘した。浙江省の安吉余村を例に挙げると、「青々とした緑の山河は金山・銀山にほかならない」という理念の普及に伴い、現地の環境を段階的に整備し、現地の優位性を頼りに、キャンプ場を建設した。山の地形に合わせてロッククライミングなど20以上のスポーツ施設を設置した。整備された河川も透きとおって底まで見えるようになり、カヌーやパドルボードのコースとなっており、浙江省内のみならず、ほかの省・市の観光客もその名に引かれてやってくる。

 注目すべきは、中国の今回のアウトドアブームで、インターネットでの社交性が特に際立っていることだ。言い換えれば、「微信(ウィーチャット、WeChat)のモーメンツでの美しい写真の投稿」は、多くの若者がアウトドアに引かれる重要な動機となっている。ある若者が好むSNSサイトを開くと、「アウトドア」をキーワードにした投稿が89万件を超え、大自然が与える美しさ、テントやテーブルクロス、食べ物との組み合わせから生まれるファッションやセンスが主な共有コンテンツとなっている。そのため、アウトドアキャンプは利用者の社交的なニーズを把握し、テーマ活動や随行カメラマンを配置し、利用者に「大作」の撮影サービスを提供する。

 中国アウトドア店、三夫戸外(Sanfo)の張恒(Zhang Heng)董事長は、出遅れたため、中国のアウトドア経済の発展は未成熟だと指摘した。特にアウトドアアイテムにおいて、ハイエンド市場は海外のトップブランドがほぼ独占している。ハイエンド・ミドルレンジ市場は主に海外の中堅以下のブランドや少数の中国ブランドが多数を占め、多くの中国ブランドはミドルレンジ・ローエンドアウトドア用品市場にあるという。今後、アウトドア消費分野の細分化の進展につれ、中国市場にはまだ大きな発展の余地があるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News