【4月23日 AFP】ウクライナ西部リビウ(Lviv)の倉庫で、ボランティアのロマン・コロボチョク(Roman Kolobochok)さん(35)は、ロシア軍との最前線で戦う友人のため狙撃用スコープを米国から取り寄せようとしていた。友人から欲しい商品のページのリンクがメールで送られてきたという。

 戦時には誰もが自分の得意分野で貢献するべきだと話すコロボチョクさん。ウクライナ各地で大勢がさまざまな才能を活用して後方支援に当たっており、コロボチョクさんは物資調達を担当している。

 以前は飲食店チェーンで土産品部門の責任者を務めていた。ウクライナの代理出産会社の仕事で、医療品を輸送する業務のため渡米した経験もある。

 ロシアの侵攻を受け、コロボチョクさんは飲食店チェーンの上司に倉庫の一角を貸してほしいと願い出た。

 今、コロボチョクさんたち物資調達班の元には、メッセージアプリを介してウクライナ全土から支援要請が届く。チームは色分けしたスプレッドシート上で、入手可能な物資との照合を慎重に進めていく。

 倉庫の棚には寝袋やテント、小麦粉、コーヒー、医療用手袋、せっけんなど、世界中から届いたあらゆる支援物資が積み上げられている。医療品置き場にはインスリンなどを保管する冷蔵庫もある。

■軍用ブーツやチェーンソーも

 約50人から成る物資調達班は、暗視ゴーグルや全地球測位システム(GPS)機器、軍用糧食なども積極的に探している。反響はものすごいとコロボチョクさんは語る。

 見ず知らずの人たちから寄付が集まり、スペインからはトラック数台分もの支援物資が届いた。米国には南部テキサス州から仕事を休んで飛行機で東海岸のフィラデルフィア(Philadelphia)に行き、 外傷用救急箱100個を購入してニューヨークの空港まで車で運んでくれた人もいた。

 わずか数日間で、無人機1機を購入できるだけの資金も集まった。「世界が私たちを支えてくれている」

 リビウの別の倉庫には、手作りの迷彩ネットやミネラルウオーターの箱、軍用ブーツ、旗、潜伏場所を造るのに使うチェーンソーなどが山積みになっていた。

■自分にできる範囲で

 前線を支えているのは物資調達班だけではない。侵攻当初、大勢の避難民がリビウに殺到した際は、避難所の手配や避難民の受け付け、着替えの調達など、皆が自分にできる範囲で協力した。

 結婚プランナーでタクシー会社も経営するパウロ・ボドナル(Pavlo Bodnar)さん(29)は、軍への入隊が認められなかったため、駅でのボランティアを買って出た。

 夜間外出禁止令の下で車を運転する許可を取得し、午後10時以降に到着した列車の乗客を無料で乗せている。戦火を逃れてきた人もいれば、いったん国外に避難したものの戻ってきた人もいる。

「運輸業界にいるので、車を持っている人を組織した」とボドナルさん。現在はチームで、夜間に移動しなければならない人たちに足を提供していると語った。(c)AFP/Alice Hackman