【4月21日 東方新報】活況を呈していた中国の映画界がコロナ禍の直撃を受けている。4月3~5日の清明節連休の興行収入は1億2000万元(約24億1096万円)。前年同期の8億2000万元(約164億7487万円)と比べ7分の1近くに激減した。

 新型コロナウイルスの拡大により映画館が閉鎖され、連休中は全国の映画館の稼働率は40%台にとどまった。また、人気俳優の朱一龍(Zhu Yilong)が納棺師を演じる『人生大事(英題:Lighting Up The Stars)』や香港映画『神探大戦(英題:Detective VS. Sleuths)』などが公開を延期するなど、話題作の「撤退」も響いた。

 中国の映画産業はコロナ禍までは右肩上がりを続けていた。2019年の興行収入は過去最高の642億6600万元(約1兆2912億円)を記録。新型コロナが猛威を振るった2020年は203億1400万元(約4081億円)に落ち込んだが、2021年は472億5800万元(約9495億円)にまで持ち直した。

 ところが今年に入り、コロナ禍の再燃とともに再び低迷が始まった。1~3月の興行収入は前年同期比63.5%減の9億1300万元(約183億円)。特に3月は上海市や深セン市(Shenzhen)の映画館がすべて閉鎖され、3月24日の興行収入はこの10年間の1日当たり収入で最も低い965万元(約1億9388万円)に。この日の入場者は映画館1館平均50人、1回の上映で平均1.8人という散々なものだった。

 興行収入の落ち込みは新型コロナの流行が直接的な理由だが、より根深い原因があるという。2020年夏に全国の映画館が再開して業界関係者に笑顔が戻った当時、ベテランの映画人は「本当の苦難は1~2年後に起きる」と「予言」していた。2020年夏から2021年にかけてヒットした映画は、すべてコロナ禍以前に製作されていた。

 映画の製作は企画から撮影、上映まで1~2年を要する。

 制約のない時期につくられた大作は「在庫切れ」となった。新型コロナの流行以降、リスクを恐れて映画製作への投資が鈍り大作映画が作りづらくなり、撮影現場も数々の制約を受けている。現在上映されている新作に市民が「面白くない」と感じていることが、最大の問題という。中国は世界最大の映画市場に発展したが、今後も低迷が続く恐れがある。(c)東方新報/AFPBB News