■止まっている列車の「自然の動き」

 ホテルの経営幹部、ギャビン・フェレイラ(Gavin Ferreira)氏(39)は「列車の廃棄場に行って、客車を探しました」と語る。客室は1車両につき1部屋だけで、25号室まである。

 客室の大きなベッドには、真新しいシーツとふわふわの枕が備わっている。シルクのバスローブも用意されている。朝はバスルームの窓から差す日の光を浴び、歯を磨きながら川を見渡すことができる。

 小さなバルコニーが外へといざなうが、ドアを閉め忘れてはいけない。「ここのサルは攻撃的です」と客室係が言う。突然飛び降りてくることがあるのだ。

 鉄橋によじ登った小さな灰色のサルが窓から中をのぞき込み、ベッドに寝転がる宿泊客を興味津々で見ている。かわいいが、だまされては駄目だ。

 夜のとばりが落ちると、列車は客を乗せたまま優しく揺れる。「自然の動きです」とフェレイラ氏。「橋の金属部分が伸縮するためです」。日中は熱で金属が膨張し、気温が下がる夜は収縮するからだ。「お客さまには、列車が動いているみたいだと喜ばれます」 (c)AFP/Gersende RAMBOURG