【1月5日 AFP】香港発着の「どこにも行かないクルーズ」の客船で5日、乗客乗員3700人のうち9人が新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の濃厚接触者と判明し、検査のための帰港が命じられた。

 香港は中国本土と同じように感染者ゼロを目指す「ゼロコロナ」戦略を取っており、事実上の国境封鎖や数週間にわたる隔離、局地的ロックダウン(都市封鎖)、大規模検査といった世界的にも厳しい措置を続けている。

 香港ではこれまでに、114人のオミクロン株感染が確認されているが、その大半は空港や香港到着後の21日間のホテル隔離中に検出された。しかし、キャセイパシフィック(Cathay Pacific)航空の従業員に関連する感染が広がったことを受け、ここ数日は大規模検査や濃厚接触者の追跡が行われている。

 クルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ(Spectrum of the Seas)」の濃厚接触者9人は、追跡調査で判明した。乗客2500人と乗員1200人については、検査で陰性であれば下船が認められる。

 香港では厳格な感染防止策により、これまでの感染者は1万2000人余り、死者は213人にとどまっている。

 しかし、厳格な対策は金融ハブ香港を中国本土を含む世界から孤立させた。世界の他の金融ハブが新型コロナとの共存を目指す一方、香港では人材の維持・確保が難しくなっており、多国籍企業からは不満の声が上がっている。

 航空会社も香港の空港利用を避け始めており、操縦士や乗務員を香港から移動させる企業も出ている。(c)AFP