【4月17日 CGTN Japanese】北京冬季オリンピック金メダリストの谷愛凌(Eileen Gu、アイリーン・グー)選手、蘇翊鳴(Su Yiming)選手ら147人にこのほど、北京冬季オリンピック・パラリンピックの際立った貢献者の称号が授与されました。リストの中で唯一、四角の枠で表記された氏名があります。「鄧小嵐(Deng Xiaolan)」という名前でした。

 今年2月、北京冬季オリンピックの開会式では、44人の子どもがギリシャ語版の「オリンピック賛歌」を歌いました。この子どもたちは河北省(Hebei)阜平県(Fuping)の山村から来ており、合唱団は「馬蘭花合唱団」と呼ばれています。彼らを山村から冬季オリンピックの舞台へと一歩一歩導いたのが、鄧小嵐さんでした。

 2003年の清明節、鄧小嵐さんは馬蘭村に墓参りに戻った際、地元の子どもたちと知り合いになり、一緒に山歌を歌いたいと思いましたが、子どもたちが何も歌えないことに気付きました。小さい頃から音楽が好きだった鄧さんは、音楽のない人生はあまりにも味気ないという思いから、地元の子どもに歌を教え始めたのです。

 その後、半月ごとに北京から馬蘭村に戻り、自分の退職金で校舎を改装し、北京からバイオリンやアコーディオンなどの楽器を運んで馬蘭花合唱団を結成し、18年間で20万キロメートル以上走り回った鄧さんは、音楽を通じて恥ずかしがり屋だった村の子どもたちに自信をもたらしました。山村を出て、大学に合格し、就職して新たな人生を切り開いた子どもたちも少なくありません。

 2021年9月、北京冬季オリンピック組織委員会は馬蘭村を訪れ、開会式で歌を歌うことができる子どもを選びました。その後4カ月余り、鄧さんは全過程に付き添い、ゼロから子どもたちのギリシャ語学習を手伝い、最終的に素晴らしいアカペラのオリンピック賛歌を披露しました。

 不幸なことに、鄧さんは今年3月21日、突発的な脳血栓のため79歳で亡くなりました。鄧さんは18年間、馬蘭村のために200人以上の子どもを育て、音楽で村を変えました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News