【解説】戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド その違いは
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【4月15日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、ロシア軍がウクライナで「ジェノサイド(集団殺害)」を行っていると非難した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も、ロシア軍が占領していた地域から多数の民間人の遺体が見つかったことから、ロシアはジェノサイドを行ったと非難し、港湾都市マリウポリ(Mariupol)の包囲と攻撃を「人道に対する罪」と指弾した。
これらの国際法違反の違いについて解説する。
■戦争犯罪とは
戦争犯罪は、武力紛争時に民間人および戦闘員に対して犯される重大な国際法違反だ。
何が戦争犯罪に当たるのかは、1998年のローマ規程(Rome Statute)の第8条に明記されている。この規程によって、国際刑事裁判所(ICC)が発足した。
第8条は、1949年のジュネーブ条約(Geneva Conventions)の「重大な違反」を戦争犯罪と定義している。殺人、拷問、レイプ、人質を取ること、人道支援関連への攻撃など、50以上の例が挙げられている。
また、意図的に民間人や「町や村のほか、非軍事用の防御されていない住居や建物」を攻撃すること、占領した土地から「全てもしくは一部の住民を追放したり、移動させたりすること」も戦争犯罪とされている。
■人道に対する罪とは
人道に対する罪という概念が最初に提起されたのは1945年8月8日。その後、ローマ規程の第7条として成文化された。「民間人に対する広範、もしくは組織的な攻撃」を指し、「殺人」「絶滅」「奴隷化」「追放もしくは強制的移送」がこれに含まれる。
人道に対する罪は平時にも起こり得る。また、拷問やレイプに加え、人種・民族・文化・宗教・性別などに関わるあらゆる差別も人道に対する罪とされる。