■ジェノサイドとは

 ジェノサイドが法的な概念として登場したのはナチス・ドイツ(Nazi)の戦争犯罪を裁いたニュルンベルク(Nuremburg)裁判にさかのぼる。ポーランド人法律家のラファエル・レムキン(Raphael Lemkin)氏がナチスによるユダヤ人600万人の殺害を表現するために造った言葉だ。

 ジェノサイドの罪は1948年のジェノサイド条約(Genocide Convention)で正式に制定され、「国民的、民族的、人種的または宗教的集団の全部または一部を破壊する意図をもった行為」と定義されている。

 国際法の専門家によると、ジェノサイドは「非常に特定的な国際犯罪」であり、証明するのは困難なことが多い。集団殺害を行うことの「心理的動機」の証拠が必要になるという。

■新たな罪「侵略犯罪」とは

 ICCは2017年、訴追対象に「侵略犯罪」を加えた。他国の「主権、領土の一体性または政治の独立性」を侵害する行為がこれに当たる。

 この罪を定義することで、政治・軍事指導者らによる侵略行為の責任を追及できるようになった。ただ、ICC加盟国のうち侵略犯罪に関するICCの管轄権を認めていない数十の国や、非加盟国は、適用外となり得る。

 法律の専門家らは、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領をこの侵略犯罪で裁くには、ウクライナのための特別法廷の設置が必要となる可能性があると指摘している。(c)AFP