■サバイバルモード

 ロシア軍に抜かりはない。抵抗の気配がなくても、「Z」マークを付けた戦車や軍用車両が歩行者や自転車が行き交う街をパトロールしている。

 公立病院は砲撃で損傷し、電力不足に悩まされながらもできる限り患者を受け入れ続けている。

 看護師のナタリヤ・ネクラソワムヒナ(Natalya Nekrasova-Mukhina)さん(46)は薄暗がりの中、子どもから高齢者まで多くの患者が砲弾の破片によるけがの治療を受けにやってくると語った。

 住民は今もサバイバルモードで生活している。

 スーパーマーケットの警備責任者を務めていたスベトラナ・シェルバコワ(Svetlana Shcherbakova)さん(59)は、自宅が焼け落ちた時、身分証明書以外のすべてを失った。シェルバコワさんは震える声で「一度だけ支援物資を受け取ったが、それきりだ」と語った。

 ロシアによる侵攻前、ボルノバハの人口は約2万人だった。しかし、鉄道技師のアントン・ワルシャ(Anton Varusha)さん(35)は、同じ通りに住んでいた人の半分も戻っていないとみている。

 ワルシャさんは「ここに住み続けるかはまだ分からないが、年老いた病気の両親がいるから当面は残る」と語った。

 ワルシャさんによると、電気もインターネットも通っていないため、現地では正確な情報の入手にも苦労しているが、「さまざまなラジオ局を聴き比べて見解を比較するようにしている」という。(c)AFP/Andrey BORODULIN