【4月12日 AFP】ブラジル北部のアマゾン(Amazon)熱帯雨林にある保護区の先住民族ヤノマミ(Yanomami)居留地で、昨年の金の違法採掘が急増したことが、ヤノマミの権利擁護運動を行っている「フトゥカラ協会(HAY)」が11日に公表した報告書で明らかになった。

 報告書によると、違法な金の採掘が行われた地域は2021年に対前年比で46%増加し、3272ヘクタールに及んだ。18年に監視活動が始まって以来、最大の増加率になった。

 HAYは報告書で、「われわれの土地での森林伐採や水源の破壊に加えて、ヤノマミ居留地での金やスズ石の違法採掘は、マラリアや他の感染症の爆発的な拡大や、先住民族に対する暴力の恐ろしいほどの急激な増加をもたらしている」と指摘した。

 違法な採掘は、最近の金価格の上昇に伴って急増。政府の統計によると、アマゾン盆地では昨年、違法採掘によって過去最高の125平方キロの土地が破壊された。

 組織犯罪につながる違法採掘者は、先住民族社会に対する数々の暴力事件や、金の抽出に使われる水銀による河川の汚染を引き起こしている。

 報告書は、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が先住民族地域での鉱物採掘の合法化に向けた取り組みを進める中で公表された。

 これによると、採掘者はヤノマミの人々に酒や薬物を与え、女性や少女に性的暴行を働いたりするケースがあるほか、食べ物を対価に肉体関係を要求することもあるという。HAYは「先住民族の女性は採掘者を多大なる脅威と見なしている」と訴えた。(c)AFP