【3月25日 AFP】ブラジル北部のアマゾン(Amazon)熱帯雨林で昨年、保護区となっている先住民族ヤノマミ(Yanomami)の居留地での違法採掘が30%拡大し、サッカー場500面分の森が破壊されたとの報告書が25日、発表された。

 違法採掘はアマゾンの環境破壊の主要原因となっている。二つの先住民団体がまとめた報告書によると、違法採掘のため伐採されたヤノマミ居留地の総面積は、昨年分を合わせて2400ヘクタールに及ぶ。

 金とダイヤモンドの違法採掘はアマゾンの一大ビジネスと化しているが、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で環境当局が取り締まりを縮小する中、ヤノマミ居留地でのみ活動が拡大したという。

 報告書をまとめた団体の一つでヤノマミの権利擁護運動を行っている「フトゥカラ協会(HAY)」の代表でシャーマンのダビ・コペナワ(Davi Kopenawa)氏は、「水は汚れ、川は黄色く染まり、どこもかしこも穴だらけだ。違法採掘業者はまるでブタだ」と述べた。

「連中は飢えた獣のようにやって来て、われわれの土地の資源をあさる。(違法採掘は)急速に拡大しており、ヤノマミ居留地の中心部に到達しつつある」

 違法採掘業者は武装していることが多く、コペナワ氏によるとヤノマミの人々は衝突の発生を恐れている。昨年6月には、違法採掘業者がヤノマミ男性2人を射殺し、HAYが「暴力の連鎖」に警鐘を鳴らした。先月も、先住民集落が採掘業者の襲撃を受け、先住民1人が負傷、採掘業者1人が死亡した。

 顔に装飾を施すことで知られるヤノマミは、20世紀半ばまで外界からほぼ隔絶された孤立先住民族だった。だが、1970年代以降、違法採掘業者との衝突が続いている。さらに、はしかやマラリアなどの病気も重なり、ヤノマミの人口は現在約2万7000人まで激減した。

 先住民当局は、違法採掘業者が持ち込んだ新型コロナウイルスにヤノマミが感染する危険性について警告している。(c)AFP