【4月12日 東方新報】中国3大航空会社が「暗闇」に突入している。2021年の最終損益はいずれも100億元(約1959億円)以上の赤字を記録。3社の赤字総額は409億5700万元(約8025億3194万円)に膨れあがった。コロナ禍や燃料費の高騰に加え、3月の墜落事故も大きな影響を与えている。

 3社の決算によると、最大手の中国南方航空(China Southern Airlines)は21年の売上高が前年比9.8%増の1016億4400万元(約1兆9916億6335万円)だったが、赤字も11.6%増の121億3000万元(約2376億8129万円)に上った。2番手の中国国際航空(Air China、エアチャイナ)は売上高が7.2%増の745億3200万元(約1兆4604億1727万円)の一方、赤字も15.4%増の166億4000万元(約3260億5248万円)。中国東方航空(China Eastern Airline)は売上高が14.5%増の671億3000万元(約1兆3153億7879万円)に対し、赤字は3.2%増の122億1400万元(約2393億2722万円)だった。つまり、3社とも売上を伸ばしたにもかかわらず赤字が拡大した。

 中国民用航空局によると、21年の国内線旅客数は前年比7.6%の9億443万人。厳格な「ゼロコロナ対策」の成果により国内旅行や出張が復調傾向にあり、コロナ禍以前の19年の74.6%にまで回復した。一方、世界の感染拡大状況に合わせてフライトを制限している国際線の旅客数は305万人で、前年比82%減と大きく落ち込んだ。19年と比べてわずか2.2%にとどまる。高い単価が見込める国際線の大幅減が3社に打撃を与えた。

 原油高に伴う燃料費の高騰は続き、さらにウクライナでの戦争により国際的なインフレ圧力が強まっている。新型コロナが収まらず低い座席利用率でフライトすれば「飛ぶだけ赤字」となり、燃料高は今後も経営上の重しとなりそうだ。

 3月21日には東方航空系列の旅客機が中国南部で墜落し、乗客乗員132人が犠牲となる事故が発生した。中国の民間航空機は2010年8月に黒竜江省(Heilongjiang)で40人以上が死亡した事故以降、137か月連続(計1億時間)で無事故を続けていただけに国内の衝撃は大きい。事故の調査は数か月、数年単位となるため、航空業界への負のイメージがつきまとうことになる。

 国際航空運送協会(IATA)は、今年の世界の旅客数はコロナ禍以前の83%に回復し、24年にはコロナ禍以前より3%上回ると予測している。だが、新型コロナウイルスの感染状況は先が読めないだけに、航空業界はこれからも「視界不良」の状態を余儀なくされる。(c)東方新報/AFPBB News