【4月7日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は6日、2022年サッカーW杯大会(2022 World Cup)の開催国カタールでは警備員が「強制労働」の状態を強いられ、一日の休みもないまま数か月、ときには数年にわたり働かされていると報告書で指摘し、大会開幕前に調査を行うよう求めた。

 カタールでは、アフリカやアジアから渡ってきた大勢の移民労働者が、事務所や工場、建設現場の警備員として低賃金で働いている。中東初開催となるW杯が11月21日に開幕するまでに、さらに数千人が動員される見通しとなっている。

 アムネスティによれば、34人の現・元警備員が「1日12時間労働を週7日こなすのが日常的で、数か月、あるいは数年にわたり休みなしで働くことはざらだと説明した」。あるバングラデシュ人の男性は、3年間一日も休日をもらえなかったと話したという。

 また、週1日の法定休を取得した人は賃金を削減されることも多く、代わりの人を用意せずにトイレ休憩をとったり、病欠したり、仕事着の着方が「間違って」いたりした場合も減給になったという。

 気温50度に達する夏に屋外労働を強いられたことに対する不満も取り上げられた。警備員の多くを占めるウガンダやケニア出身の労働者は、猛暑での仕事を任されることが比較的多く、特にアラビア語を話せる労働者よりも賃金が低いと指摘された。

 以前から批判を受けているカタールは、すでに最低賃金を導入し、猛暑下で認められる労働時間を短縮。労働者が転職や出国をする際には雇用主の許可が必要になるシステムも一部廃止している。だがアムネスティは、雇用主と移民労働者の間にはいまだ「巨大なパワーバランスの不均衡」があり、警備業界に対する関心が低いと主張した。

 カタールでは労働組合の結成が禁止されている。(c)AFP