【4月5日 CNS】中国西部の青海省(Qinghai)玉樹チベット族自治州(Yusyu Tibetan Autonomous Prefecture)玉樹市(Yushu)の通天河流域で、岩壁に穴をえぐった岩画群が発見された。20平方メートルの範囲に208個の穴があり、通天河流域では最大規模となる。

「玉樹地域には古代のチベット族が描いたとみられる多くの岩画がある。今回の岩画は数千年前ものと考えられる」。河北師範大学(Hebei Normal University)歴史文化学院の湯恵生(Tang Huisheng)教授はそう説明する。

 岩画は硬い石で比較的削りやすい岩石をえぐったもので、古いものは旧石器時代にさかのぼる。穴の大半は丸い形をしており、複数の穴で線や渦、棋盤、円などの図形を表現している。岩画は世界各地の遺跡などにあり、日本では山口県の神田山の石棺から岩画が発見されている。これらの穴は多産を願う祭祀(さいし)の場所だったと考えられているほか、季節と時間や、当時の宇宙観を表しているともされる。

 中国では河南省(Henan)の具茨山(Jucishan)にある岩画が有名だ。世界岩画組織連合会のロバート・ベドナリック(Robert Bednarik)執行主席ら専門家は、約3000年前の周王朝の時代につくられたとみている。円形と棋盤状の模様は、古代中国の神秘的な図形の「洛書」と「河図」によく似ている。

 今回見つかった岩画群は、特定のシンボルを描くことで地上と「天」を結ぶというチベット族の原初的な宗教儀式に用いられたと考えられている。(c)CNS/JCM/AFPBB News