【4月4日 CNS】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以来、欧米の多くの国々では、アジア系を対象とする人種差別事件が大幅に増加している。

 英中弁護士協会(UK Society of Chinese Lawyers)の朱小久(Zhu Xiaojiu)会長は2020年5月、「国際人種差別対応連盟」を設立した。各国の華僑・華人を団結させ、社会と連携し、新型コロナウイルスによって各国で引き起こされた人種差別に共同で対応する。

 ここ数年、海外の華僑・華人の権利意識はかなり高まっており、華人社会団体はヘイトクライム(憎悪犯罪)に遭った際、相互協力し、抗議デモを行うこともある。新移民の人種差別反対と権利意識も高まっている。

 朱氏は権利意識を持つ華人代表で、英国で設立したこの連盟は、30か国以上の弁護士、華僑リーダー、議員、メディア関係者から成る組織だ。「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約、ICERD)」と各国の人種差別反対法に基づき、法律の宣伝・普及と交流する方式で、新型コロナウイルスによる各国での人種差別に共同で対応していく。

 2020年10月24日には、同連盟と米国などの複数の社会団体が、国際人種差別反対フォーラムを企画・開催した。

 朱氏は、中国系住民の権利意識の薄さや我慢強さは華人グループには不利となるため、中国系住民に対し、法律についての教育の強化や普及講座の多数実施で意識を高め、法的手段をもって権益を守ることを奨励すべきだと考えている。

 そのため、弁護士業務のかたわら、英国の華僑・華人を対象とする法律講座を開催。特に旧華僑は、伝統的な考えが比較的染みついていて、事が荒立つのを恐れ、困難があったとしても権益を守ろうとする人は少なかった。朱氏は、彼らを対象に法律知識を広め、権利意識を育てていく必要があり、被害者は警察に通報して声を上げることで権益を勝ち取るべきだとしている。

 また、華人社会団体は団結し、声を上げて各業界の支持を獲得しなければならず、地元の社会に溶け込んでいる人に声をかけてもらうと、地元政府の重視も促しやすいと考えている。

 このほか、中国系住民の積極的な参政・議政の奨励も重要だ。米国では少数の中国系住民に政界への進出意欲がある。しかし、英国の華人の参政意欲はそうでもなく、金融、医学、科学研究などの分野への進出する傾向があるため、華人の声は政府に届きにくくなる。

 また、移民第1世代は現地社会に溶け込むことが難しく、中国系住民の政治参加には、新華僑と旧華僑の共同参加が必要になるだろう。

 海外では、中国の事実を歪曲(わいきょく)するネガティブな報道が多く、中国の声はめったに聞こえない。多くの西洋人が中国を訪れたことがなく、新聞報道を通じて色の烙印(らくいん)を押された中国をイメージづけ、中国に対する差別と偏見はさらに深まったため、中国は異なるプラットフォームで強力な反撃を行い、積極的に発言権を把握しなければならない。

 現地社会に溶け込んだ華人は、真実の中国の物語を西洋人が理解できる言語で語らなければならない。中国を知れば知るほど、中国人に対する差別は減るだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News