【3月26日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は25日、欧米諸国がロシアの文化を差別していると主張し、1930年代のナチス・ドイツ(Nazi)支持者による焚書(ふんしょ)運動になぞらえて非難した。

 国内の文化賞受賞者とビデオ会議で面会したプーチン氏は、欧米諸国が「1000年の歴史を持つ国を取り消そうとしている」と主張。欧米で失言などをした著名人が一斉に非難を受ける「キャンセル文化」に言及し、「悪名高い『キャンセル文化』が、文化のキャンセルと化してしまった」と述べた。

 ロシア人作曲家の作品が演奏会から排除され、ロシア人作家の本が「禁止」されていると指摘し、「好ましくない文献を破棄するこうした大規模な運動を最後に行ったのは、約90年前のナチス・ドイツだった。(中略)広場では本が燃やされた」と語った。

 欧米諸国は、先月24日にウクライナへ侵攻したロシアに対し、一連の制裁を発動。同国の孤立は政治・経済面にとどまらず、スポーツや文化といった分野にまで及んでいる。

 プーチン氏は、トランスジェンダーに関するツイッター(Twitter)投稿で批判にさらされた英作家J・K・ローリング(J.K. Rowling)氏の例を取り上げ、「いわゆる性別の自由のファンを喜ばせなかったためキャンセルされた」と指摘した。

 ローリング氏はこれを受け、ツイッターへの投稿で、ロシアで収監されている反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏に関する英BBCの記事へのリンクを付けた上で、「欧米のキャンセル文化に対する批判は、抵抗という罪で市民を虐殺したり、反対派を投獄して毒を盛ったりするような人々によってなされるのは最善ではないかもしれない」と応じた。(c)AFP