【3月24日 CNS】中国では若者のテレビ離れが進み、テレビは高齢者の生活を支える製品となっている。午後7時からニュース番組「新聞聯播」を見て、それからテレビドラマを楽しむのが高齢者の夜の日課。しかし近年は高性能のスマートテレビが高齢者を悩ませている。

 春節(旧正月、Lunar New Year)の時期、張強(Zhang Qiang)さんは親孝行のつもりで両親のために有名ブランドのスマートテレビを購入したが、それが両親を困らせることになった。テレビにはボタンがなく、リモコンに漢字が一つもない。赤いスイッチボタンを押すと大画面にさまざまな番組の紹介画像が並び、とりあえずクリックすると今度はID入力を求める通知が出てくる。

「私たちはただ、『新聞聯播』を見たいだけなのに!」。父親は1時間近くリモコンを操作したが、「新聞聯播」を見られなかった。それを聞いた息子の張さんが付箋紙に操作手順を書き留めてテレビのキャビネットに貼り付け、ようやく「平穏」が訪れた。

 同様の悩みを訴える高齢者は多い。中国家用電器協会が運営する「中国家電サイト」が2月に発表したリポートによると、スマートテレビが家にある高齢者のうち49.6%が「電源を入れた後、見たい番組にアクセスできない」と回答。「機能が多すぎて切り替え方法が分からない」が28%、「操作が複雑で、見たい番組を捜す方法が分からない」が20.9%と続いた。「あきらめてテレビを見ない」と回答する人も27.2%に上った。

 リポートで興味深い点は、「テレビにどのような機能があるといいか」という質問に、47.9%が「リモコンをなくして、音声だけで操作する機能」と回答。つまり、スマートテレビが高齢者にトラブルをもたらす原因は「スマートさが足りない」ことだった。

 中国家電サイトの呂盛華(Lv Shenghua)総編集長は「文字が判読しづらく、知識が不足している高齢者にとって、音声操作は優れた解決法になる」と指摘。テレビメーカー業界は音声操作を導入する方向へ進んでいるが、中国では地域によって方言が大きく異なるなどの問題があり、メーカーは研究を続ける必要があるという。(c)CNS-北京青年報/JCM/AFPBB News