■「より良い死に方」

 同社の創業者でトップを務めるマイカ・トルーマン(Micah Truman)氏は「ここに葬られた人々は、より良い死に方を私たちに教えてくれているように感じます」と語る。

 倉庫ほどの大きさの部屋棚には、「ベッセル(船の意)」と呼ばれる金属製コンテナが並んでいる。コンテナの中に入れられた遺体は60日間、密封状態で分解過程を経る。

 明るい照明がついた部屋には、アップテンポの曲が流れている。この60日の間に訪れた遺族は、亡き人の人生を祝福する曲を選ぶことができる。

 ベッセルの中の遺体には防腐処理は施されていない。遺族には花や堆肥化可能な思い出の品を添えてもらう。さらに分解過程を促進するために、わらなど遺体の体重の約3倍の有機物が加えられる。その結果、出来上がる100キロ以上の堆肥は、見た目も感触も普通の腐葉土と変わらない。

 環境配慮型の埋葬を推進するNPO「グリーンベリアルカウンシル(Green Burial Council)」のエドワード・ビクスビー(Edward Bixby)会長は、世界各地で遺体の堆肥化を選択する人が増えていると語る。「基本的にわれわれは生まれてきた土に返る、ちりはちりに戻るということです」

 リターンホームで遺体の堆肥化にかかる費用は5000ドル(約65万円)で火葬とほぼ同じだが、従来の葬儀を行えばこの2~3倍の費用がかかる。

「グリーン」埋葬は、死そのものに対する自然な向き合い方だ。遺族は、遺体の埋葬準備に関わること、そして故人がこれからも生き続ける生命の一部になるのを見ることができる。

「愛する人が亡くなっても、いつでも思いをはせることはできるのです。ただ触れることができなくなっただけです」とビクスビー氏は語った。(c)AFP/Glenn CHAPMAN