■活性化する現代アート市場

 練馬区立美術館(Nerima Art Museum)の秋元雄史(Yuji Akimoto)館長によると、現代アート市場は、作品の購入者が増えて活性化しているという。

 2017年、オンラインファッションサイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」の創業者、前澤友作(Yusaku Maezawa)氏が新表現主義のアーティスト、ジャンミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)の作品を1億1050万ドル(当時約123億円)で落札したことも大きな話題になった。

 現代アートを中心に取り扱うSBIアートオークション(SBI Art Auction)の加賀美令(Rei Kagami)氏は、ここ2、3年で30代や40代の購入者が増えていると話した。市場規模は今後も拡大するとみており、「資産として美術品を持つということが浸透してきている」 と感じている。

 オークションで扱う作品では、美術作家の奈良美智(Yoshitomo Nara)氏や草間彌生(Yayoi Kusama)氏らが不動の人気を誇る一方、最近はストリートアートの人気が高まっており、作家も増えたという。

 文化庁が委託した調査によると、2021年の日本における現代アートの市場規模(写真、映像作品を含む)は少なくとも394億円だ。

 今評価されているアーティストの中には「残る人もいるでしょうし、残念ながら消えていく人もいるだろう」と秋元氏は話す。

 ただ、政治やジェンダー、環境問題に迫った作品や、人種や民族などの社会的少数派の表現も注目を集めている。長坂氏の活動については「直接的な社会活動そのものをやっていくというのは面白い」と秋元氏は言う。

 長坂氏は、スラムからサステナブルタウンをつくる「プロ集団」になる志を持つと同時に、美術家としてもさらに飛躍したいと意欲を見せる。

 ガーナは人生の「主題」だと長坂氏。これからもガーナを題材にして、誰も手掛けたことのない作品に取り組みたいと語った。

「僕はただの絵描きなんで、世界でトップのアーティストになりたい」 (c)AFPBB News/Marie SAKONJU/Shingo ITO