【3月21日 AFP】戦禍のウクライナを支援し、平和のメッセージを届けようと、ロシアとウクライナを含む世界の著名バレエダンサーによるチャリティー公演が19日、英ロンドンのコリセウム劇場(Coliseum Theatre)で行われた。

「ウクライナのための舞踏」と銘打った公演の呼び掛け人の一人で、ウクライナ人ダンサー兼プロデューサーのイワン・プトロフ(Ivan Putrov)氏によると、10万ポンド(約1600万円)の支援金集めを目標に掲げたが、開演前にすでに14万ポンド(約2200万円)が集まった。

 満席となった劇場で、ルーマニア出身のバレリーナ、アリーナ・コジョカル(Alina Cojacaru)さんは「民主主義を守り、自由と尊い命のために立ち上がった」と語った。

 出演したのは英ロイヤル・バレエ団(The Royal Ballet)に所属するロシアのナタリア・オシポワ(Natalia Osipova)さん、アルゼンチン出身のマリアネラ・ヌニェス(Marianela Nunez)さん、日本の金子扶生(Fumi Kaneko)さん、フランスのパリ・オペラ座バレエ団(Paris Opera Ballet)のマチュー・ガニオ(Mathieu Ganio)さんら。その他、ウクライナや米国、スペイン、キューバのダンサーも参加した。

 公演はウクライナ国歌で開幕し、ロシア人作曲家アレクサンドル・グラズノフ(Alexander Glazunov)のバレエ組曲「ライモンダ(Raymonda)」の「愛の勝利(The Triumph of Love)」で幕を閉じた。

 ピョートル・チャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky)やセルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninoff)といったロシア人作曲家の作品も演じられた。

「ロシア文化はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とは無関係で、それと同様にプーチン氏もロシア文化とは関係がない」とプトロフ氏。

 プトロフ氏は、メッセージを届けたいのは欧米諸国やウクライナの人々だけでなく、ロシアの人々も含まれるとし、「私たちアーティストは自らが持つ才能を通じて、自らの信条を発信しなければならない。アートには声があり、その声を使うことがアートなのだ」と語った。(c)AFP/Anna CUENCA