【3月17日 AFP】ロシアの著名ピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)氏(53)が、ウクライナの首都キエフの電力を遮断して圧力をかけるよう発言し、クラシック音楽界に衝撃が広がっている。

 ベレゾフスキー氏は10日、ロシアの政府系テレビ局「第1チャンネル(Channel One)」のトーク番組に出演し「素朴な質問がある。彼ら(ウクライナ)に情けをかけ、慎重に物事を進めているのは分かる。だが、彼らを気にかけるのはやめて(キエフを)包囲し、電力を遮断したらどうだろうか」と述べた。

 ベレゾフスキー氏は、1990年のチャイコフスキー国際コンクール(International Tchaikovsky Competition)で優勝。長年にわたり世界中で演奏してきた。

「西側メディアが報じていることは真っ赤なうそだ」「われわれはこの戦争に勝ち、この国で何かいいもの、素晴らしいものを築かなければならない。最後には真実が人々に届くと確信している。1年後には真実が勝つ」と強調した。

 また、西側諸国でエネルギー価格が上昇していることについて尋ねられるとこう答えた。「西側で起こっていることはどうでもいい。彼らは彼らの解決策を見つけるだろう。あちらにはこれから3年は絶対に行かない。私の問題ではない」

 特に指揮者のワレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)氏やソプラノ歌手のアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)氏ら、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を支持しているとされるロシアのアーティストは、ウクライナ侵攻以降、西側諸国の劇場から締め出されている。

 ピアニスト兼指揮者で、パリ室内管弦楽団(Paris Chamber Orchestra)の音楽監督を務めるラルス・フォークト(Lars Vogt)氏は、ベレゾフスキー氏の発言を受け、「私の元友人、ボリス・Bがこのような発言をしたとは信じられない。だが、私は彼の口からその言葉を聞いた。私たちの友情は正式に終わった」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 ベネズエラ人ピアニスト、ガブリエラ・モンテーロ(Gabriela Montera)氏もツイッターで、「とてもがっかりした」「音楽の素晴らしさと共感力は必ずしも一致するわけではない」と述べた。(c)AFP