【3月10日 CNS】2022年1月1日「域内包括的経済連携(RCEP)協定」の正式な発効は、世界最大の自由貿易圏が始動したことを意味する。華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)教授で武漢光谷自貿研究院の陳波(Chen Bo)院長は、RCEPの締結と発効は、中国と世界で最も成長が速く、経済活動が活発なアジア太平洋市場の統合をさらに促進し、アジア太平洋産業チェーンを強化し、さらに中国国内市場の総合競争力を高め、中国市場の優勝劣敗と産業の構造転換・高度化を促進するとみている。従って、RCEP の実施は、中国の新たな「双循環」発展構図を強く推進していく。

 RCEPの基礎は「ASEAN+5」、つまりASEAN10か国に中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドのASEAN対話国5か国を加えたものだ。こうして、RCEPはアジア太平洋諸国だけの「ASEAN+5」で構成されることになった。また、これは中日両経済圏の間で初めて自由貿易協定が結ばれたことを意味し、日本は間もなく中国からの輸出品の88%をゼロ関税とすることを特筆すべきだ。

 これらの加盟国の経済発展は、先進国から発展途上国に至るまで大きな差がある。しかし、すべての国の共通の最大の貿易相手国が中国であるため、中国はRCEPの形成を推進する上で中心的な役割を担ってきた。

 RCEPの関税譲許の対象となる品目は多岐にわたる。協定が着地した後、今後10年間で中国のRCEP加盟国への輸出の90%以上がゼロ関税措置を享受することになる。RCEPの貿易円滑化に関する中国の措置は、主に以下の4方面に反映されている。第一に、RCEP加盟国からの輸入は、概ね48時間以内に通関することが明確に提案されている。第二に、原産地規則の面では、RCEP加盟国はバックトゥバック原産地証明書(Back to Back CO)規則を享受して流通と物流の効率を改善すると同時に、RCEPの累積規則が産業チェーンの統合にプラスになる。加盟国が多く、企業が生産に必要な投入物の大半はRCEP加盟国より提供されるため、すべて蓄積してゼロ関税政策を享受できるようになり、地域の産業チェーンの強化の促進につながる。第三に、直接輸送には時間制限がなく、流通・物流工程はRCEP加盟国滞在の時間制限に計上されず、関税の対象外であること。第四に、地域別価値アルゴリズムには、ある国の付加価値シェアを見るものと、商品に含まれる全てのRCEP加盟国の成分の付加価値を合算して免税成分を計算するものと、2種類のアルゴリズムが含まれている。RCEP地域内では、加盟国同士が生産、産業チェーンの協力、価値の蓄積のプロセスにおいて免税措置を享受し、地域間の貿易の流れを促進することができる。

 全体として、RCEPはすでに国際分業や協力に関与している産業に増幅効果をもたらす。 国際的な産業チェーンに依存している産業や企業にとって有益だ。RCEP加盟国と競合する企業にとっては、短期的には新しい課題に適応する過程があるかもしれない。産業分類では、運輸、繊維、アパレル、軽工業、建築材料、農産物、採掘、電子商取引、公共交通、ITなどが恩恵を受ける一方、自動車・部品、石油化学、医療、観光などの産業はある程度の課題を抱える可能性がある。(c)CNS/JCM/AFPBB News