【2月17日 CNS】北京冬季五輪の中国の代表選手には、海外育ちのアスリートも加わっている。フリースタイルスキーの新種目、女子ビッグエアで初代女王となった谷愛凌(Gu Ailing)選手は米サンフランシスコ出身で、米国人の父と中国人の母親を持つ。女子フィギュアスケートの林姗(Lin Shan)選手と朱易(Zhu Yi)選手、男子アイスホッケーの鄭恩来(Zheng Enlai)選手らも海外育ち。歴史的にも、華僑や海外暮らし経験者が中国のウインタースポーツ発展に寄与してきた。

 中国華僑歴史博物館(Overseas Chinese History Musuem of China)の寧一(Ning Yi)副館長は「中国のウインタースポーツは19世紀終わりから20世紀初頭にかけ、東北部や華北地域の租界から広まり、華僑も参加していた」と説明する。

 中国は1979年に国際オリンピック委員会(IOC)に復帰し、1980年の米レークプラシッド(Lake Placid)冬季五輪に28人の選手を初めて派遣。この大会に中国代表として初めて女子フィギュアスケートに出場した包振華(Bao Zhenhua)さんは、引退後に日本に留学して教壇に立った。2018年からは、中国の男子アイスホッケーチーム元キャプテンで夫の辺紹堂(Bian Shaotang)さんと中国に戻り、ウインタースポーツの普及事業に取り組んでいる。

 女子フィギュアスケートのスター李明珠(Li Mingzhu)さんは1997年に米国に渡って教師になり、その後「国際アイススポーツトレーニングセンター」を設立。米国で中国人や華僑の若いフィギュアスケーターを育成し、2010年には中国フィギュアスケート女子シングルのヘッドコーチを務めた。

 中国代表として初めて1995年の女子フィギュアスケート世界選手権で優勝した陳露(Chen Lu)さんは引退後に米国に留学し、仕事をした。2004年に帰国し、民間アイスリンクの運営モデルを導入。現在は北京冬季五輪組織委員会(BOCOG)の委員を務める。

 中国国家体育総局は2017年、4年に1回開催される中国最大のスポーツ大会・第13回全国運動会で華僑選手に門戸を開いた。海外育ちのハイレベルなアスリートの参加は国内の選手たちに大きな刺激を与えた。

 北京冬季五輪の決定後、中国は「3億人がウインタースポーツに参加する」という目標を掲げ、それを達成した。ウインタースポーツの隆盛には華僑や海外在住経験者が大きく貢献しており、北京冬季五輪の開催は彼らの人生の理想を結実したものとなった。(c)CNS/JCM/AFPBB News