【3月9日 AFP】北京パラリンピックは8日、4日目の競技が行われ、母国がロシアの侵攻を受けているウクライナが、表彰台を独占したバイアスロンを含む9個のメダルを獲得した。しかし選手の一人は、父親がロシア軍の捕虜になったことを知らされ、同国にとってはうれしさとショックの入り交じった一日になった。

 ロシアによる侵攻に胸を痛めながらも、黄色と青のスーツをまとったウクライナの選手たちは力を振り絞り、この日は金2個、銀4個、銅3個のメダルを獲得した。

 国際女性デーに女子選手の力を証明するかのように、バイアスロン女子10キロ立位ではイリーナ・ブイ(Iryna Bui)が長年の夢をかなえるパラリンピックの金メダルを獲得し、銀メダルのオレクサンドラ・コノノワ(Oleksandra Kononova)、銅メダルのリュドミラ・リアシェンコ(Liudmyla Liashenko)とともに表彰台を独占した。

 リアシェンコの自宅は、激しい爆撃を受けている母国第2の都市ハリコフ(Kharkiv)にあったが、7日に破壊された。チーム広報によれば、このためにリアシェンコはクロスカントリースキーの出場を取りやめた。

 また、バイアスロン女子10キロ座位への出場を予定していた19歳のアナスタシア・ラレチナ(Anastasiia Laletina)も、母国から悪い知らせが届いたため棄権した。広報は「彼女の父親はウクライナ軍の兵士で、ロシア兵の捕虜になり、殴打された。彼女はひどく動揺し、レースに出場できなくなった」と話している。

 母国が破壊されるという不安の中で、ウクライナの選手は飛び抜けた力を発揮している。これまでに獲得したメダルは金6個を含む17個で、メダルの国・地域別ランキングで金8個の中国に次ぐ2位につけている。(c)AFP/Lisa MARTIN