【3月12日 CGTN Japanese】ダイエットは現代人の悩みの一つであり、グローバルな話題でもあります。世界三大科学誌「セル」の3月4日号(電子版)に、中国の科学者による最新の研究論文が掲載され、表紙も飾りました。  

 この研究論文は、中国の華東師範大学の研究チームが、ダイエットと代謝性疾患の研究において収めた重要な成果です。それによりますと、人類のベージュ脂肪細胞が局部の温熱療法によって活性化され、肥満症状を軽減させ、代謝を整えることができるということです。  

 周知のように、脂肪細胞には、さまざまな種類のものがあります。人類やネズミを含む哺乳類には、白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞という機能が異なる三つの脂肪細胞があります。白色脂肪細胞は「単胞性脂肪細胞」とも呼ばれ、細胞内に大きな脂肪滴が一つあり、脂肪を蓄える役割をしています。褐色脂肪細胞は「痩せる細胞」と表現されることもあるほど、脂肪を燃焼させる役割があります。ベージュ脂肪細胞は新しく発見された脂肪細胞で、普段は白色脂肪細胞の特徴を見せますが、寒い環境で体温を維持するためやアドレナリンがたくさん分泌された場合、褐色脂肪細胞へと転化し、栄養を燃やすことで熱を産生します。成人の頸部(けいぶ)の両側や背中の上部両脇、鎖骨周辺、背骨に集中しています。   

「セル」3月4日号の表紙は、ギリシャ神話にある不死鳥伝説をモチーフにし、ベージュ脂肪細胞が温熱療法によって褐色脂肪細胞へと転化し、新しいエネルギーを生かして人類に健康をもたらす願いが込められています。  

 温熱療法は、中国では治療法の一つとして古くからあり、薫蒸や灸(きゅう)、火罐(吸い玉、カッピング)などが臨床治療で広く使われています。また近年は、サウナやホットヨガ、温水浴なども流行し、新陳代謝を一定程度改善するとみられています。その一方で、全身の温熱療法は神経系や心血管の疾患を招く恐れもあります。今回の研究成果により、ベージュ脂肪細胞は熱ショック因子1(HSF-1)の局部の温熱療法によって活性化されることが分かり、肥満症状やインスリン抵抗性などの代謝性疾患を安全かつ効果的に抑え込み、臨床の薬物開発や診断と治療のための重要な研究基盤になると評価されています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News