姿を消していく中国の「バイクの大軍」帰省 旧正月の「風物詩」に変化
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【2月26日 CNS】中国南部の広東省(Guangdong)では例年、春節(旧正月、Lunar New Year)が近づくと、故郷へ帰省する出稼ぎ労働者の「バイクの大軍」が話題になる。ところが今年は、勤務先の仏山市(Foshan)や肇慶市(Zhaoqing)などから走るオートバイの行列は見られなくなった。
高速鉄道がなかった時代、広東省の珠江(Pearl River)デルタ地域地域周辺では長距離鉄道の切符が入手しづらく、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)からの出稼ぎ労働者の多くがバイクで帰省する方法を選択。集団となって同じ時間、同じルートで砂煙を巻き上げながら走る姿は名物となった。
2012年にはバイク隊は30万人を超え、地方政府は安全確保のためパトカーを使って先導。ピーク期の2014年は60万人近くとなり、肇慶市などでは毎日1000人以上のスタッフを動員し、バイク隊の誘導や飲食提供などのサービスをしていた。それでも交通渋滞や事故などのトラブルはつきまとった。
2014年末、貴州省(Guizhou)貴陽市(Guiyang)-広東省広州市(Guangzhou)と広西チワン族自治区南寧市(Nanning)-広州市の間に高速鉄道が開通すると、状況が変わった。2015年の春節特別輸送期間中、それぞれの高速鉄道は1日3万人を輸送し、バイク隊は20万人弱に減少した。
今年の春節特別輸送期間中、高速鉄道の輸送力は過去最高の1日9万人超に達した。広東省と広西チワン族自治区は2015年から出稼ぎ労働者専用の帰省列車も導入しており、多くの人がバイクより列車による帰省を選ぶようになった。
かつては家族との再会を目指してバイクで走り続けた出稼ぎ労働者たちは、快適な車両で外の景色を眺めながら、帰省の道のりを楽しむようになった。(c)CNS-光明日報/JCM/AFPBB News