【2月27日 東方新報】中国でウインタースポーツ人口が3億人を超え、2021~22年にまたがる関連観光収入は3233億元(約5兆9011億円)に達する見込みだ。消費力が向上してスキーを楽しむ市民が増え、さらに北京冬季五輪開催が人気を押し上げた。

 北京冬季五輪で中国は過去最多の金メダル9個を獲得。米国育ちで金2個、銀1個を手にしたフリースタイルスキー女子の谷愛凌(Gu Ailing)選手やスノーボード男子ビッグエアで金メダルを獲得した蘇翊鳴(Su Yiming)選手など国民的スターも誕生した。中国ではこれまで冬季五輪への注目は夏季五輪ほどではなかったが、地元開催と中国勢の躍進によりウインタースポーツへの関心が一気に高まった。

 旅行サイト「携程携程(シートリップ、Ctrip)」によると春節(旧正月、Lunar New Year)連休中、スキーに関連したホテル予約は前年同期比で54%増加。スキー場が多い黒竜江省(Heilongjiang)、吉林省(Jilin)、遼寧省(Liaoning)の東北3省への航空券予約は50%以上増え、春節連休中のスキー用品の売り上げは180%増となった。

 中国南部でもウインタースポーツが広がっている。緯度で日本の九州と同じぐらいに位置する安徽省(Anhui)、九州より南の浙江省(Zhejiang)、沖縄県と同じぐらいの貴州省(Guizhou)でも山間部のスキー場が人気となっている。中国観光研究所によると、ウインターレジャー人口は2016~17年の1億7000万人から2020~21年は2億5400万人に増加。今季の2021~22年は一気に約5000万人増の3億500万人に達する見込みだ。

 中国北部では伝統的に、冬になると厚く氷が張った池で遊ぶのが定番。5元(約91円)程度の入場料を払い、学校の机のような形をした誰でも安全に乗れるソリで遊ぶ光景が見られる。一方、時間も費用もかかる遠方のスキー場へ行く文化は浸透していなかったが、最近は急激な経済成長に伴い市民の所得が向上し、スキー用具一式を買い込み、マイカーでスキー場へ行く人が増えてきた。

 中国は個人消費を経済成長のけん引役に期待しており、伸びしろがあるウインターレジャーの促進に力を入れている。重工業産業が中心で経済が停滞気味の東北3省や、開発が遅れている南部の山間部などが冬の観光スポットになれば一石二鳥の効果もある。北京冬季五輪は17日間で終わったが、今後に続く経済効果をもたらしている。(c)東方新報/AFPBB News