【2月22日 東方新報】北京冬季五輪では各国の代表選手が北京市、延慶区(Yanqing)、張家口市(Zhangjiakou)の3会場(ゾーン)の選手村に宿泊した。新型コロナウイルス対策のため外部との接触を断つ「バブル方式」がとられ、競技場以外は原則、選手村で過ごした選手たち。その暮らしはおおむね好評だった。

 選手村で特に評判だったのは、最先端技術を駆使したスマートベッドだ。北京冬季五輪組織委員会は「羽毛の落下も感知する」と豪語。選手の個室にある縦2メートル、幅1.2メートルのシングルベッドは、人間工学の原理に基づく「ZERO G(ゼロ重力)モード」がある。リモコンで頭と足を特定の角度に調整でき、心臓と膝を同じ高さにして、体の圧力を均等に分散する。タイマーをセットしておくと、ベッドの頭の部分がその時間に自動で持ち上がる仕組みだ。

 また、ベッドには精密なセンサーが内蔵されており、睡眠中にいびきをかくと、自動で頭の角度を調整。脈拍や呼吸などを測定し、体調をリアルタイムで確認できる。各選手らのバイタルサインはビッグデータで管理しており、選手村全体で万が一トラブルが起きた時も早急に対応できる態勢を整えている。冬季パラリンピックの時にはベッドの高さを10センチメートル下げることができる。

 リュージュ女子米国代表のサマー・ブリチャー(Summer Britcher)選手は入村後、ベッドのリモコンを操作してベッドに寝転がる様子をインターネットに投稿し、「信じられないぐらい素晴らしい」と称賛。個室は面積135~220平方メートルの4種類があり、アイスホッケー日本女子の大沢ちほ(Chiho Osawa)主将は「(前回大会の)平昌より部屋が広く、過ごしやすい」と語っている。

 選手は競技場以外に外出できないため、各選手村にはジムを整備。クリーニング店、生花店、ヘアサロン、ネイルサロン、コンビニ、銀行などを備え、中国の伝統医療「中医」を受けられるスペースも設けた。標高900メートルの高さにある延慶選手村では、建物をすべて暖房の効いた廊下でつなぎ、外気に当たらず移動できるようにした。

 選手村のメーンレストランは24時間稼働し、合計678種類のメニューを用意。毎日約200種類のメニューがあり、8日周期でメニューを入れ替えていった。西洋料理、アジア料理、ムスリム料理、グルテンフリー料理など12種類に分かれ、日本食は日式カレーや寿司(すし)、みそ汁など。中華料理は北京ダックや揚州チャーハン、肉まんなどが人気だった。女子モーグル日本代表の川村あんり(Anri Kawamura)選手は「食事はかなりおいしくて、3食いっぱい食べています」と話していた。

 料理は基本的に薄味で、選手が好みに応じて調味料で味付けをした。メニューを考案した栄養管理学の専門家、修宇(Xiu Yu)北京連合大学准教授は「選手が最高のパフォーマンスを披露できるよう、体を温める食事を意識した」。コロナ禍の厳戒態勢で行われている五輪で、できる限りの「おもてなし」に努めた。(c)東方新報/AFPBB News