【2月21日 東方新報】北京冬季五輪でカーリングの熱戦が繰り広げられた北京・国家水泳センター。日本の女子代表ロコ・ソラーレ(Loco Solare)が大躍進したこの会場、実は2008年北京夏季五輪ではその名の通り水泳会場だった。競泳、飛び込み、シンクロナイズドスイミングが行われ、日本代表の北島康介(Kousuke Kitajima)さんが平泳ぎ100メートル・200メートルで2冠に耀き、「何も言えねえ」とつぶやいた場所である。

 国家水泳センターは水の泡が連なったような外観から、「水立方(アイスキューブ)」と呼ばれている。すぐ隣には夏季五輪メイン会場だった国家体育場(通称・鳥の巣)がそびえ立ち、夏季五輪を象徴するコンビだった。その水立方が今回の冬季五輪は「氷立方(アイスキューブ)」に変わった。

 水泳の施設でカーリングの試合が行われるのは五輪史上、初めてのことだ。プールをカーリング会場に変えるにあたり、コンピューター上に実物と同じ3次元モデルの建物を構築し、そのモデルに基づいて建設を進めるBIM(Building Information Modeling)方式を採用。新構造や新材料、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)などの最新技術を駆使し、資源の節約や二酸化炭素(CO2)排出削減も図った。解体可能なカーリングのレーンをプールに設置し、約20日間で水泳施設から氷上競技施設に変身することを可能にした。

 最大の難関は温度管理だ。建物1階の出入り口を改造して屋内外の空気を分離するようにして、会場には取り外し可能な製氷システムを導入。湿度、照明から音響の影響まですべて計算に入れた上で、氷面の温度はマイナス8.5度、氷面から1.5メートルまでの温度は10度に維持し、観客席の温度は16~18度にしている。

 国家水泳センターは冬季パラリンピックでも車いすカーリングの会場となる。大会後は、春・夏・秋は水泳競技、冬は氷上競技に使われる。北京夏季五輪のレガシー(遺産)は「エコロジー、省エネ、持続可能性」という北京冬季五輪の理念を象徴した施設にもなり、新たなレガシーを加えた。(c)東方新報/AFPBB News