【2月22日 AFP】ロシアがウクライナ国境付近に大規模な部隊を集結させ、緊張が続いている。この10年、騒乱と紛争、領土の喪失で揺れ続けたウクライナに関する五つの事柄をまとめた。

■ロシアとの歴史的な因縁

 ウクライナの歴史は、東に隣接する大国ロシアの歴史と密接に絡み合っている。「ウクライナ」の文字通りの意味は「辺境」だ。

 両国の起源は、中世のキエフ公国にさかのぼる。公国はかつて、黒海(Black Sea)からバルト海(Baltic Sea)まで広がっていた。

 後のウクライナは、その大部分がロシア帝国の支配下に置かれたが、西部地域は時代によってオーストリア・ハンガリー二重帝国などの周辺国に属していた。

 ウクライナはその後、ソビエト社会主義共和国連邦の一員となるが、1991年のソ連崩壊後、ロシアと激しく対立するようになった。

 2014年、親欧州連合(EU)派による反政府デモを経て、ロシアを後ろ盾とするビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領が失脚。その後ロシアは、ウクライナ南部のクリミア(Crimea)半島を併合し、東部地域の親ロシア派を支援した。

 以来、東部2州はウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力との戦闘の舞台となり、これまでに1万4000人以上が死亡している。

■欧州の最貧国の一つ

 2014年のウクライナ危機以降、同国経済は悪化。同年、GDP(国内総生産)は6%以上落ち込み、さらに翌年には10%近く減少し、インフレ率は40%に達した。

 その後、景気は回復の兆しを示しているものの、人口約4000万のウクライナは、欧州の最貧国の一つにとどまっている。国民の平均月収は500ユーロ(約6万5000円)前後だ。

 ウクライナ経済は、ロシアから欧州に輸出される天然ガスの通過料収入に大きく依存しているため、自国を迂回(うかい)してロシアの天然ガスをドイツに輸送する新たなパイプライン「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」が経済に与える影響について、政府は懸念を表明している。