【2月15日 東方新報】北京冬季五輪の開幕とともに中国で人気が高まっている公式マスコット「氷墩墩(BingDwenDwen)」。そのグッズは入手困難となり、転売ヤーや悪質な詐欺グループも現れている。

 パンダが宇宙服のような氷の衣装をまとったデザインの氷墩墩は、コロナ禍の影響もあり最近まで中国での注目度はイマイチだった。2月4日の五輪開幕直前、日本のテレビアナウンサーが氷墩墩の魅力を熱烈にアピールした番組の動画が中国で拡散し、注目度がアップ。開幕後は表彰式でメダリストが氷墩墩の人形を掲げた映像が繰り返し流され、「すごくかわいい」と一気に人気が上昇した。

 氷墩墩のグッズは大きさ20センチのぬいぐるみが192元(約3488円)、8センチのフィギュア88元(約1598円)、キーホルダー58元(約1053円)、バッジ48元(約872円)で販売されているが、スーパーなどでは売り切れとなり、北京市の繁華街・王府井(Wangfujing)の五輪公式ショップでは開店前の早朝から行列ができている。

 中国では1月31日から2月6日までが春節(旧正月、Lunar New Year)の連休となり、工場でのグッズ製造や供給が遅れたため、品薄状態が続いている。このためインターネットではグッズの転売が行われ、192元のぬいぐるみが約10倍の2000元(約3万6338円)前後で販売されている。

 中国メディアによると、浙江省(Zhejiang)の市民はグッズをめぐる詐欺に遭った。インターネット上で「氷墩墩を購入する特別ルートがある」という宣伝を見つけて3500元(約6万3592円)を振り込んだが、相手から「今すぐ手に入れるのは難しい。少し待ってほしい」と返信が来て、返金を要求すると相手からブロックされたという。

 また、「微信(ウィーチャット、WeChat)」で「氷墩墩を代理購入します」というメッセージを受け、電子マネーで250元(約4542円)を支払ったが、そのままブロックされたという詐欺も複数報告されている。

 北京冬季五輪組織委員会は「氷墩墩のグッズは6月まで製造を続ける」と声明を発表。いずれはグッズが手に入るので、悪質な転売や詐欺に応じないよう呼びかけている。

 五輪を巡っては他の詐欺も横行している。「わが社のキャンペーンで五輪グッズが当たりました」と微信でメッセージを送り付け、喜んだ市民がグッズを希望すると「最初に保証金が必要」「手数料と郵送料を振り込んでほしい」などと現金を要求する手口が報道されている。また、北京冬季五輪のニセ公式サイトを立ち上げて「抽選で五輪記念品プレゼント」とうその宣伝をして、希望者が入力したカード番号などを不正入手する事件も発生。スポーツの祭典を悪用した詐欺に対し各地の警察は取り締まりを強化している。(c)東方新報/AFPBB News