【2月14日 Xinhua News】中国北京市の首都体育館で行われた冬季五輪フィギュアスケート男子で、羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は3連覇を逃した。転倒したものの、4回転半ジャンプに果敢に挑み、闘い続ける羽生の姿は五輪精神を最もよく体現していた。今回の結果は勝敗を超越しており、彼が最高の選手であることに変わりはない。

 北京冬季五輪で、羽生は間違いなく中国人に最も愛され、さらには世界で最も注目を集めた選手の一人となった。6日には「羽生結弦が北京に到着」という話題が各主要SNSの急上昇ランキングに入り、北京冬季五輪のツイッター公式アカウントにも世界中のファンから応援が寄せられた。

 羽生の4回転半ジャンプは大きな注目を集めたが、実際はジャンプ成功への期待というよりも、羽生の夢がかない努力が報われる瞬間を見たいと願っていたのではないだろうか。それは誰かが自分に代わって夢をかなえるのを見たいという願望に似ている。メディアは羽生に対し一層惜しみない賛辞を贈り、中国メディアは羽生の演技が終わった後にさまざまな報道を行った。

 中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボー、Weibo)」では、羽生に関する話題が今なお高い注目度を保っている。

 ある北京市民は「選手たちは試合で闘いながら研さんと成長を重ね、奮闘しながら夢を実現するという信念を全ての人に伝えた。彼らに拍手と声援を送りたい」と語った。

 街を歩くと、フィギュアスケートに詳しくない人でも、羽生のことはよく知っている。多くの中国人にとって羽生は日本の熱血アニメの主人公のようで、純粋な少年が一つのことに情熱を傾け、たゆまぬ努力が実を結んで頂点に立つというストーリーを見ている。

 インタビューを受けた市民は、「何かを愛することが非常に重要だと思う」と説明。「人々が羽生を称賛するのは、4回転半ジャンプを成功できるかどうかではなく、4回転半ジャンプに対する彼の執念が心の中の熱情を呼び起こすからで、人々の胸を打つのは結果ではなく過程だ」と語った。

 もしかしたら、羽生が主人公の作品は平昌冬季五輪で完結していたかもしれないが、今回の北京五輪によって「脚本」が変更された。

 中国中央電視台(CCTV)の陳瀅(Chen Ying)解説員の言葉のように「天意は神のみぞ知る。たとえ頂点に至らなかったとしても、あなたと共に歴史を刻み、成功も失敗も笑って見たい」ということかもしれない。(c)Xinhua News/AFPBB News