【2月11日 AFP】オーストラリアは11日、東岸一帯に生息するコアラを「絶滅危惧種」に指定した。コアラは森林火災や開発による生息地の減少、干ばつ、病気などの影響を受けている。

 対象となるのは、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州、首都特別地域(Australian Capital Territory)、クイーンズランド(Queensland)州のコアラ。スーザン・リー(Sussan Ley)環境相は、高いレベルの保護を可能にするためと説明している。

 東岸部のコアラは約10年前に「危急種」に指定された。

 世界自然保護基金(WWF)のオーストラリア支部に所属する専門家、スチュアート・ブランチ(Stuart Blanch)氏は「コアラは10年もたたないうちに、指定なしから危急種、危惧種になった。衝撃的な速さで生息数が減少している」と指摘する。

「今回の決定は歓迎するが、生息地の森を守るため、法を強化し土地所有者への補償を行わなければ、コアラが絶滅に向かうことは止められない」と語った。

 自然保護団体などは、東岸に生息するコアラの正確な数を把握するのは難しいとしている。

 政府の絶滅危惧種科学委員会は、2001年には18万5000匹いたが、21年には9万2000匹にまで減少したと推計している。

 動物保護団体「ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(Humane Society International)」のアレクシア・ウェルビラブ(Alexia Wellbelove)氏は、何も対策が講じられなければ、50年までに東岸部のコアラは絶滅する恐れがあると指摘する。

 自然保護団体「オーストラリア自然保護基金(Australian Conservation Foundation)」の調査から、コアラが危急種に指定されて以降も、生息地の土地2万5000ヘクタール以上の開拓を政府が許可したことが分かっている。

 同団体の啓発担当、バシャ・スタサク(Basha Stasak)氏は「環境関連の連邦法はまったく効果がなく、10年前に危急種に指定したが、クイーンズランド、ニューサウスウェールズ両州の生息地の破壊を止めることはほとんどできなかった」と述べた。(c)AFP