【2月11日 AFP】(更新)北京冬季五輪でドーピング検査を管轄する国際検査機関(ITA)は11日、フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア五輪委員会<ROC>)が、大会前に行われた検査で禁止薬物に陽性反応を示したと発表した。

 ITAの発表によれば、ロシア側は陽性判明後にワリエワの五輪出場を認めており、国際オリンピック委員会(IOC)はロシア側の決定に異議申し立てを行うという。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が、ワリエワが個人戦に出場する予定の15日までに裁定を下す。

 今回の情報によって、今週行われた団体戦のメダル授与式が取りやめになった理由が判明した。ワリエワは同種目に出場し、女子選手では五輪史上初の4回転ジャンプに成功するなどしてROCの金メダル獲得に貢献した。

 検査で検出されたトリメタジジン(Trimetazidine)は狭心症やめまいの治療に用いられるものだが、血流の効率を高めて持久力を上げる効果があるため、世界反ドーピング機関(WADA)によって禁止されている。

 検体はロシア選手権(Rostelecom Russian Nationals 2022)期間中の昨年12月25日に提出されたものだったが、国際的に認定された研究所で陽性結果が確認されたのは今月8日になってからだった。

 ワリエワはロシア反ドーピング機関(RUSADA)から暫定資格停止処分を受け、これにより五輪から除外されるはずだったが、この決定への異議が認められて9日に処分が解除された。これを受けて、今度はIOCが同選手の処分解除に不服を申し立てる意向を明らかにした。

 ITAは「世界ドーピング防止規程(WADA Code)の下、WADAや国際スケート連盟(ISU)、RUSADA、そしてIOCは、CASに対して暫定処分解除の決定に異議を唱える権利を保持している。IOCは、この権利を行使する見込み」と説明した。(c)AFP