【2月6日 東方新報】中国で婦人科手術の様子をインターネットで生中継した男性医師が刑事拘束された。中国では近年、プライバシーを暴露するライブ配信が問題になっている。

 中国メディアによると、山東省(Shandong)日照市(Rizhao)の総合病院で1月15日、女性患者が婦人科手術を受けている様子を男性麻酔科医が無断で撮影し、動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」を通じてネット上で生中継した。

 問題に気付いたbilibili側はライブ配信中に数回にわたって警告を送った後、配信を遮断し、アカウントを永久凍結した。18日になって通報を受けた地元の警察が捜査を始め、麻酔科医の男を特定して拘束した。ネットでの閲覧数を稼ぐためライブ配信をしたとみられ、男は病院を解雇され、医師免許も剝奪された。日照市は病院の責任者ら11人を処分するなど、病院の監督責任も厳しく追及する。

 本人の許可なくプライバシー動画を配信する裏ビジネスは、たびたび問題となっている。2019年に山東省済寧市(Jining)で摘発されたグループは、ホテルの個室の照明やエアコンなどに約300台の小型カメラを設置し、スマートフォンで操作しながら女性の裸やカップルの性行為などを盗撮していた。グループは違法サイト業者に「放映権」を販売し、業者が配信アカウントをネット上で、月額20~60元(約360~1078円)で販売。警察がサイトを閉鎖するまで、視聴回数は10万回を超えていた。

 違法業者は裏サイトで顧客を募るが、顧客との連絡には微信(ウィーチャット、WeChat)は使わず、中国では通常利用されていないツイッター(Twitter)や、メッセージが暗号化されるアプリ「テレグラム(Telegram)」を使ってやりとりするという。

 防犯カメラをハッキングした犯罪も起きている。広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)では昨年、結婚式場やスーパー、民家など十数か所の防犯カメラの映像を違法に入手していた男が逮捕された。男は2019年末から約500か所の防犯カメラをハッキングして動画を手に入れ、自分で視聴したり仲間に横流ししたりしていた。メーカーによっては防犯カメラの初期パスワードを「6666」「888888」(6も8も中国では縁起が良い数字)と単純なものに設定している場合があり、ハッキングを容易にしている。また、複雑なパスワードでも技術を駆使して突破する犯罪グループもいる。

 国家インターネット情報弁公室や工業情報化省、公安省などは昨年5月から、盗撮目的とみられるカメラの販売取り締まり、違法性の高いサイトの閉鎖、プラットフォーム企業への指導などを強化。一方で犯罪グループも「技術革新」を続けており、根絶はなかなか難しい状況が続いている。(c)東方新報/AFPBB News