【2月2日 AFP】スウェーデンで開催中のヨーテボリ国際映画祭(Gothenburg Film Festival)で、20分にわたり観客に催眠術をかけた後、長編映画を見てもらうという試みが行われている。

 同映画祭のディレクター、ヨナス・ホルムベリ(Jonas Holmberg)氏は「映画鑑賞とはどうあるべきかという先入観に挑戦するため企画した」と説明した。

 最初の催眠術は1月30日、イラン出身で米国を拠点とするシリン・ネシャット(Shirin Neshat)監督の『ランド・オブ・ドリームス(Land of Dreams)』の上映前に行われた。新型コロナウイルスの規制のため、参加した観客は数十人だった。

 新作映画のトレーラーが流される代わりに、催眠術師フレドリック・プレスト(Fredrik Praesto)氏が催眠セッションを行った。

 プレスト氏は、大きな渦巻きが映し出されたスクリーンの前に立つと、観客に向かって手を合わせたり、目を閉じたりなどの動作を指示し、催眠術をかけた。20秒のカウントダウン後に観客が目を開けるよう指示されると同時に上映が開始。映画が終わり、クレジットが流れ始めると、催眠を解くために再びカウントダウンが行われた。

 放心状態になったり、映画に非常に集中できたり、観客によって反応はさまざまだった。

 ある若い女性は「すべての雑音や気を散らすものが消えた。映画の音だけが聞こえ没入感がすごかった」と話した。

 ヨーテボリ映画祭は一風変わった鑑賞体験を提案することで知られる。昨年はコロナ規制に対応するために、孤島の灯台で1週間にわたる上映会を実施。観客は公募で選ばれた看護師1人だった。

 映像はヨーテボリ映画祭が1月30日撮影・31日提供。(c)AFP