【5月19日 AFP】新型コロナウイルス対策での規制が続くフランスの映画館連盟は、映画館が休館を余儀なくされているにもかかわらず、ドライブインシアターにはその規制が適用されていないとして、怒りをあらわにしている。

 南西部ボルドー(Bordeaux)で先週末、ドライブインシアターの巡回興行による映画祭が開幕した。今後国内各地で、アート系作品や幅広い層が楽しめるフランス映画を上映する計画だ。

 フランス映画館連盟(FNCF)は、同映画祭をはじめ多数の屋外上映会により、「映画館再開に向けて、地元や国の当局者らが闘いに集中すべき」時に、観客が奪われていると反発している。

 このドライブイン映画祭には、観客がマイカーの車内にとどまったまま映画を見られるため、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の規制が適用されない。

 仏国内では先週、ロックダウン(都市封鎖)が若干緩和されたものの、首都パリを含む広範囲で今も厳しい規制が敷かれている。

 大半の店舗は営業を再開したが、映画館の開館の見通しは立っておらず、少なくとも7月までは閉鎖が続くとみられる。

 同映画祭を主催するドライブイン・フェスティバル(Drive-in Festival)の関係者らはAFPに対し、映画館の経営者らから利益を横取りするつもりはないと語った。

 欧州の有名な独立系映画製作会社の一つ、BACフィルムズ(BAC Films)でかつて代表を務めていたマチュー・ロビネ(Mathieu Robinet)氏は、「封鎖の間、人々に文化に触れてもらう機会を提供したいだけ」であり、営利目的ではないと話している。

 ロビネ氏は、会場設営に力を貸しているのは35人のボランティアで、イベントは毎回期間限定で実施していると説明。

 映画館の営業再開が許可されれば、アカデミー賞(Academy Awards)を受賞した韓国映画『パラサイト 半地下の家族(Parasite)』や、フランス映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢(Sink or Swim)』や『社会の片隅で(Invisibles)』の上映は中止するとしている。

 それでも同連盟は、ドライブインシアターが規制を逃れ、「観客やスタッフを危険にさらしてよい理由はない」として、規制の適用を要求している。(c)AFP/Fiachra GIBBONS