【2月2日 AFP】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は1日、新型コロナウイルスに対する勝利を宣言したり、感染拡大防止の試みを止めたりするのは時期尚早だと警告した。

 テドロス氏は記者会見で、「降伏したり、勝利宣言したりするのは、どの国にとっても時期尚早だ」と指摘。「このウイルスは危険で、今もわれわれの面前で進化を続けている」と述べた。

 デンマークは同日、コロナ関連の国内規制を全面的に解除した。変異株「オミクロン株」により、新規感染者数が過去最多水準に達する中、規制の全面解除に踏み切った欧州連合(EU)加盟国は同国が初めて。他にも複数の国が同様の対応を検討している。

 テドロス氏は、ワクチンの普及やオミクロン株の感染力の強さ、重症化率の低さを理由に、「感染を防ぐことは不可能で、その必要もない」という考え方が一部の国で定着しつつあることに対し懸念を表明し、「これほど真実から程遠いものはない。感染が増えれば、死者も増える」と指摘。

 オミクロン株は感染後の症状が比較的軽度とされているが「現在世界中のほとんどの地域で、非常に憂慮すべき死亡者数の増加が確認され始めている」と強調し、感染拡大防止の努力を続けることが重要だと述べた。

 さらに、「ロックダウン(都市封鎖)を再び課すことを求めているわけではない」とし、ワクチンだけではなくあらゆる手段を総動員して国民を守ることを各国に要請。オミクロン株の一種で、別系統の「BA.2」などの新たな変異株の追跡を継続する必要性も訴えた。(c)AFP