【2月1日 AFP】4年前の平昌冬季五輪で、スノーボードとアルペンスキーで五輪2冠を達成したエステル・レデツカ(Ester Ledecka、チェコ)だが、北京冬季五輪の開幕が近づく現在は「五輪」という言葉を口に出すことさえ拒否している。

 26歳のレデツカは、平昌大会のスキー女子スーパー大回転でまさかの優勝を果たすと、その1週間後には得意のスノーボード女子パラレル大回転でも金メダルを獲得。アルペンスキーとスノーボードの両方で同一五輪の金メダルを獲得した初めての選手になった。

 レデツカは、北京五輪は「小さな親善試合」にすぎないと強調している。これは彼女とチームが大会前の重圧を和らげるために使っている言葉で、「五輪」という言葉を使った場合は10ユーロ(約1300円)の罰金を科すルールも定めている。

 レデツカは「そうした対策を取るのは、その『親善試合』の前になると誰もが異様に大騒ぎを始めるから」だと話す。

「メディアは五輪に向けて―やばい。罰金10ユーロだ―ものすごい規模で話を盛り上げるし、誰もが頭がおかしくなったようになって、私にとって絶対的に特別な大会なのかもしれないと信じ始める」

「ただの1レースにすぎないのに!」

 緊張は高まっているが、それでもレデツカは競技を愛している。最近行った会見では「私自身は以前と同じ。ただコースを滑るだけで、今もレースが好き」と話しつつ、「それでも2018年の経験から学べたはずだし、あのときよりも強く、速くなっていると思いたい」と続けた。

 北京五輪では、2月8日にスノーボードのパラレル大回転に出場し、3日後にはスキーに履き替えてアルペンのスーパー大回転に挑む。

 レデツカは「早く切り替えることはすごく大変。でも、同じ日でなくてよかった。それに結局のところ、切り替えのためには、両極端なものの間をがむしゃらにいく必要があるということを理解しなくちゃならない」と言って笑った。(c)AFP/Jan FLEMR