【2月1日 東方新報】日本外務省がこのほど発表した「海外日本人数調査統計」によると、2020年から2021年の間に、中国は日本人の第2の「流出」先で、11万人以上の日本人が中国に長期滞在している。北京、上海、香港などの都市が日本人に最も人気のある中国都市の上位にあり、最近、蘇州市(Suzhou)、広州市(Guangzhou)などの都市に住む日本人の数も明らかに増えているという。

 日本人の「流出」先ランキングで、中国は米国に次ぐ2位を長年維持している。

 中国が日本人の最も主要な移住先の1つになった主な理由は2つある。第一に、日中の経済関係が深まるにつれ、中国で日系企業の駐在員にとって発展のチャンスがますます増えていることだ。中国は日系企業の重要な海外生産基地だ。改革開放の初め、パナソニック(Panasonic)などの日系企業は中国に投資し、工場を建設し、製品を欧米や日本に販売している。中国国内の消費市場の拡大に伴い、日系企業は中国で「現地化」戦略を推進し、在中国日系企業は中国消費者のニーズに合った製品をより多く生産し始めている。このような変化により、在中国日系企業の駐在員の構造は、技術者中心から、技術、マーケティング、研究開発が重んじられるようになった。

 製造業の生産能力と技術レベルが急速に向上したことにより、中国は日本の米国や欧州輸出の生産基地として、地位が一層強化された。ローエンド製品と部品の生産のみならず、ホンダ(Honda)のフィット(FIT)など主に欧州向けの車種も中国の工場で生産・組み立てを行っている。同時に、日本への中国経済の影響はますます大きくなっており、中国市場は日系企業の最も重要な海外市場となっている。例として、特に自動車工業があげられる。自動車工業は日本のGDPに占める割合が最も高い産業であり、日本経済の生命線とみなされている。米国の貿易政策と欧州のエネルギー政策の転換により、日本の自動車は近年欧米市場で振るわず、かえって中国での販売量が毎年記録を更新している。中国での売上を伸ばすために、日系企業も中国でのマーケティングを重視するようになってきている。

 日系企業が中国投資を始めた当初、中国駐在の「将来性」、そして「給料の将来性」は欧米駐在に比べはるかに劣っていた。多くの人々は中国で働くことを望まず、中国駐在を「島流し」とさえ考えていた。中国市場の重要性の向上につれ、日系企業における中国工場・支社の地位も高まり、多くの「中国経験」を持つ管理職がトップにのし上がってきた。中国は日系企業の技術者や管理職の「チャンスの地」となっている。自国内の市場の成長停滞で活躍の場がなくなった人々が、中国市場へ転戦し、職場のボトルネックを突破する絶好のチャンスと捉え、多くの日系企業の優秀な人材が中国で働くようになっている。

 第二に、中国は海外の科学研究者や技術者に良好な研究環境と手厚い待遇を与えている。中国は製造業のアップグレードを進めており、技術のアップグレードを加速させるため、中国の自動車、電子などの業界の企業は日本人技術者を積極的に誘致している。科学研究の面では、日中協力の強化が続き、先端技術と基礎科学の分野でも投資が拡大し、ますます多くの日本の科学者が新たなチャンスを見出だしている。(c)東方新報/AFPBB News