「帰省せずに年越し」で各業界の影響は? 中国の旧正月ビジネス
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【1月29日 東方新報】中国では年末年始は1月1日が祝日となる以外、会社や学校は「通常営業」。春節(旧正月、Lunar New Year)こそが中国社会の新年だ。今年は2月1日に春節を迎え、前日の1月31日から2月6日までが連休となる。
例年、1月に入る頃から中国人は春節を待ち望んでソワソワし始め、仕事もあまり手に付かなくなる。春節の連休に有給休暇を加えたり、1年契約の仕事を終えたりして1か月ぐらいの長期休暇を過ごす人も多い。春節前に実家へ帰省し、家族で年越しギョーザを食べて春節を祝い、さらに連日、親戚や友人と飲食を楽しむというのが伝統だ。
ただ、新型コロナウイルスが拡大した昨年から、中国政府は「帰省せずに現地で年越し」を奨励。多くの国民が長距離移動で帰省し、毎日のように会食を楽しむとなれば、コロナ禍が拡大する確率が高いためだ。日本で夏にコロナ禍が深刻化し、お盆の帰省を自粛するよう呼びかけたのと同様だ。
春節期間は各業界にとって一年で最も稼ぎ時。だが、「現地で年越し」の流れにより「勝ち組」「負け組」に分かれることになりそうだ。打撃を受ける例としては、帰省して友人や親戚宅に訪問することが大幅に減ることにより、たばこや酒の購入、年賀の贈答品に使われる化粧品や健康食品などの売り上げが減少する見込みだ。また、おめでたい春節を迎える節目に合わせて自動車や不動産を購入する動きも停滞する。
一方、都市部にとどまる市民が増えるため、大型スーパーマーケットや食事の宅配サービス、映画産業は売り上げ増が見込まれる。中国では最近、「麻婆豆腐の素」「レンジでチンするだけの豚の角煮」などの調理済み食品やレトルト食品が急速に広まっており、春節期間中はさらに売り上げを伸ばしそうだ。また、中国の映画業界は春節期間に高額の予算をかけた大作を投入する。帰省を控える出稼ぎ労働者や学生が時間つぶしと寂しさを埋めるため、映画館をはしごすることが考えられる。
意外な動きを見せているのがホテル業界だ。例年は春節期間中に旅行する家族は多いが、今年は新型コロナ対策で入場制限をする観光名所も多く、旅行を控える人が多いという予想だった。ところがオンライン旅行会社「携程携程(シートリップ、Ctrip)」によると、1月中旬段階の春節期間のホテル予約数は、コロナ禍が最も厳しかった昨年の春節に比べ3倍以上となっている。長距離移動をする観光は避けつつ、近場で短期の宿泊を選ぶ家庭が多いという。
また、中国でいま爆発的人気となっている体験型ゲーム「劇本殺(マーダーミステリー)」をホテル宿泊とセットにした旅行プランに、若者を中心とした予約が相次いでいる。「劇本殺」とは、参加者が与えられたシナリオの登場人物になりきり、架空の殺人事件の謎を解いていく没入型ゲーム。観光地のホテルが地元の歴史に基づいたオリジナルストーリーを創作し、参加者はコスプレのように各時代の衣装をまとい、ゲームに参加。「旅行+コト消費」という最近のトレンドに見合ったプランが人気を呼んでいる。コロナ禍でも堅調な経済成長を維持し、市民の消費力が旺盛な中国社会を反映していると言える。(c)東方新報/AFPBB News