【1月26日 AFP】ロシアは25日、ウクライナ国境付近および併合したクリミア(Crimea)で新たな軍事演習を開始した。米国は情勢の緊迫を受けて、数千人規模の部隊に警戒強化を指示しており、ロシアは米国が緊張を高めていると非難している。

 ロシア軍は、自国南部と2014年に併合したクリミア半島で、6000人規模の部隊が参加する軍事演習を開始したと発表。国防省は、戦闘機、爆撃機、対空システム、黒海(Black Sea)およびカスピ海(Caspian Sea)艦隊による戦闘訓練になると説明している。

 欧米諸国は、ロシアがウクライナ国境付近に10万人以上の兵士を集結させ、親欧米のウクライナに侵攻する準備を進めていると非難しており、ロシアとの緊張は冷戦(Cold War)以降最悪の水準に達している。

 米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は24日、欧州各国の首脳と長時間にわたるオンライン会談を行い、ロシアへの対応について「完全に一致」したと表明。欧米諸国の政府関係者らは、ロシアが侵攻すれば深刻な結果を招くと改めて警告した。

 米国防総省は、北大西洋条約機構(NATO)を支援するため、8500人規模の部隊に警戒態勢の強化を指示。またNATOは東欧の防衛強化に向け、艦船や戦闘機を派遣している。

 ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は記者会見で、米国の動きが既に緊迫している情勢に拍車を掛けていると指摘。「われわれはこうした米国の行動を、大きな懸念を抱いて注視している」と述べた。(c)AFP/Michael MAINVILLE