【1月24日 AFP】全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2022)の会場で、中国の彭帥(Peng Shuai)を支持するTシャツの着用を大会主催者が禁止したことについて、女子テニスのレジェンドであるマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏が23日、「哀れ」な判断だと話した。

 この件では同日、会場の警備スタッフが「Where is Peng Shuai?(彭帥はどこに?)」と書かれたTシャツや横断幕を取り去るよう観客に命じる動画がインターネットに投稿され、主催者側はその後、彭の安全は「自分たちにとっても最優先事項だ」と釈明していた。

 元ダブルス世界ランキング1位の彭は昨年11月、中国の張高麗(Zhang Gaoli)前副首相に性行為を強制される関係が数年にわたって断続的に続いたとSNSで告発した後、約3週間にわたり消息不明となった。その後再び中国で公の場に姿を見せたが、それ以来安否を心配される状況が続き、全豪オープンにも出場していない。

 四大大会(グランドスラム)シングルスで通算18勝を挙げているナブラチロワ氏は、ツイッター(Twitter)で「#WhereisPengShuai」のハッシュタグを使いながら、Tシャツ禁止の判断について「ひたすらに哀れ。この件で女子テニス協会(WTA)は孤立無援だ」とコメントした。

 WTAは彭と直接話をすることを要求し、中国での大会開催を中止した。その姿勢は広く称賛を集めている。

 フランスの男子選手ニコラ・マウー(Nicolas Mahut)はツイッターで、全豪オープン主催者はスポンサーの中国企業に屈していると指摘し、「何がどうなっている? なんて意気地なしなんだ! 中国のスポンサーがいなかったらどうなるんだ?」とつぶやいた。

 クラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」では、Tシャツをもっとプリントし、大量に配ろうと訴える活動家のプロジェクトが、2日かからずに目標の1万豪ドル(約81万円)を突破した。(c)AFP